小坂町は、平成9年度の「世界鉱山サミット」をきっかけに、資源循環型社会の構築に取り組んできました。 それは、「土に還るものは土に還し、土に還らないものは新たな資源として活用する。」ということで、新たな資源として活用する取り組みが、廃棄された廃電子基板などの「都市鉱石」のリサイクルです。 そして、「土に還るものは土に還す。」といった取り組みが、有機農業の推進、生ゴミの回収・リサイクル、バイオマスタウンとしての資源循環などです。 有機農業を推進するために、大規模養豚団地を誘致しました。 有機農業には、完熟堆肥が必要です。完熟堆肥を活用することによって、安全・安心な農作物が生産できると考えています。 そのために、平成7年度には「ポークランド」、平成9年度には「十和田湖高原ファーム」、平成19年度には「ファームランド」の建設を支援・推進しました。 この養豚団地では、特定の病原菌を持たないSPF豚を約11万頭出荷しており、また豚肉では全国初のICタグの導入(トレーサビリティーシステム)を実現し、関東にまで安全で安心な食品として信頼され出荷しています。 また、「桃豚」というブランド名で、小坂町の特産品として高い評価を得ています。 この養豚団地での糞尿処理施設として整備された「クリーンセンター」を活用し、小坂町の資源循環の取り組んだのが「生ゴミの回収と資源化」です。 生ゴミは、土に還る資源でありながら、石油で作られたゴミ袋に梱包され、焼却場で石油により焼却されるといった、水(生ゴミ)を石油の容器に入れて石油で燃やすといった極限の資源の無駄な活用と考えています。 そこで、生ゴミを各家庭から回収し、堆肥という新しい資源に生まれ変わらせて、町民に堆肥として還元する取り組みを行いました。 当初は、あまり浸透しませんでしたが、モデル自治会のご協力によりテストを重ね、平成17年度からは中央地区全域において事業を軌道に乗せました。 各家庭から生ゴミを回収し、それを収集・運搬、そして「クリーンセンター」を利用して堆肥化し、町民に還元するといったリサイクルシステムを構築し、平成19年度には47%の回収率にまで達成しました。 コストはかかるものの、このシステムを推進・拡大することによって、次世代に貴重な資源を残していくといったことを究極の願いとして、小坂町の主要事業、シンボル事業として取り組んできました。 さらに、資源の有効利用と農家の所得向上をうまく連携して取り組んだのが、遊休農地での菜の花の栽培です。 現在日本では、減反や農家の高齢化により、使用されていない農地が拡大しています。されに、そういったことも相乗して、農家の所得低下が進んでいる状態です。そういった状況を憂い、さらには資源の有効活用ができないかと考えたのが遊休農地への景観作物である菜の花の栽培です。 平成17年2月に資源循環と遊休農地の活用を目的とした「小坂町バイオマスタウン構想」を策定しました。 これは、バイオマスによる資源循環のシステムを構築したものです。 遊休農地に転作用作物である菜の花の栽培を推奨し、農家には転作と景観作物の栽培により、収入が得られます。そして、菜種を販売することで農家の所得向上が望めます。そして菜種から菜種油を搾油し、小坂町の特産品として販売することで、特産品のブランド化・特産品販売が推進されます。さらには、家庭等で使用した廃食用油を回収し、軽油代替燃料であるBDFを製造し、燃料として町民へ還元するといった菜の花プロジェクトとして資源循環が実現します。 農林水産省の補助を活用し、平成19年度に搾油施設を完成させ、小坂町の新たな特産品菜種油「菜々の油」が完成しました。さらには、菜の花栽培農家も増え、平成17年度には19農家約1tの収穫が、平成19年度には47農家約30tの収穫と、菜の花プロジェクトが推進されてきました。 ●菜種油搾油施設 ●「菜々の油」 このように、有機農業、生ゴミの資源化、そして菜の花プロジェクトと、資源循環の取り組みが町民や内外に評価され、小坂町が資源循環の町として大きく飛躍しました。 |