明治百年通り 明治百年通りは、明治38年に建築された「小坂鉱山事務所」や明治43年に建築された木造芝居小屋「康楽館」など、明治の雰囲気を醸し出す空間です。 この空間整備は、木造芝居小屋「康楽館」の修復整備が終了した後、文化的価値の向上や町民の憩い空間の創出を目指し、平成2年度の町長就任時から取り組んだ事業です。 当時の建設省に働きかけ、各種補助事業等を有効に活用し、総事業費9億7,000万円を投じ「マイロード事業」として、道路や歩道、そして水路をレンガ造りに、歩道には明治から小坂鉱山の社宅で使用されていた上水道共用栓をモチーフにした「獅子頭共用栓」のモニュメントを設置し、明治の文化がかおる空間整備に努めました。 また、平成5年度には当時の運輸省の国際交流村整備事業を受け、総事業費2億200万円を投じ、外国人観光客の誘客案内として、英字併記の総合案内板、日本の昔遊びをイメージしたモニュメント、地球儀を形取った噴水、そしてせせらぎなど、日本の文化を表現し町民が憩える空間整備に取り組みました。 さらに、大規模整備事業として、文化遺産の移築事業としては日本で初めて「街並み・まちづくり総合支援事業」を活用し、「小坂鉱山事務所」の移築・復原を実現しました。 平成9年に製錬所の拡張に伴い「小坂鉱山事務所」が解体されることを憂慮し、鉱山会社から事務所を譲り受け、明治期当時の意匠に復原・移築しました。 ルネッサンス風を基調とした建物であり、透かし彫りのバルコニー、3階まで突き抜けた螺旋階段といった近代西洋建築の傑作といわれる建物であり、小坂町のシンボルとして保存に努めました。 明治の雰囲気を醸し出す空間として多くの観光客を呼び寄せる資源として、また町民の心のよりどころとなる文化資産として、保存・活用していくことをモットーに整備を進めました。 そういった取り組みが評価され、平成14年度には「康楽館」と「小坂鉱山事務所」が国重要文化財に、また明治時代に建築された「小坂鉱山病院記念棟」、昭和7年に町民の初等教育のために建築された「天使館」、幻の東京オリンピック(昭和15年)の開催に合わせて昭和13年に建築された「十和田ホテル」などが平成15年度に国登録有形文化財に指定されています。 文化財は保存するだけではなく、活用することこそが本来の文化資源であると考え、「フラワーボランティアの会」の発足、「観光案内人」の創設を行い、このような町民との協働による取り組みが評価され、平成17年度には国土交通省の「美しいまちなみ大賞」を受賞しました。 また、日本の近代化を支えた産業遺産を保存・活用しているということで、平成19年度には経済産業省の「近代化産業遺産」の指定を受けています。 さらには、明治の景観づくり・活用が評価され、平成18年度には国土交通省の「手づくり郷土賞」や毎日新聞社の「ヘリテージ100選」に受賞・認定され、明治空間のまちづくりが高い評価を受けました。 こういった取り組みが高く評価され、平成20年6月には天皇皇后両陛下がこれらの施設を訪問され、暖かいお言葉を頂戴しました。 新たなものを創り上げるのではなく、地域にある資源を有効に、そして発展的に活用していくことこそが大事であると考えています。 康楽館常設公演 文化財は活用してこそ本当の文化資源であるという考えをモットーに、「康楽館」の活用、そして観光客の誘客に結びつけていく取り組みを行いました。 芝居小屋であるといった性質から、浅草の役者「伊東 元春」を招聘し、4月から11月までの常設公演を実現しました。 今でこそ多くの観光客が訪れていますが、開始当初は少ない入館者で幕の上がらない日も多かったですが、町長に就任した当時、修学旅行に着目し、多くの修学旅行を招致しました。 今では年間8万人から9万にもの観光客が訪れ、平成11年度には入館者数10万人を達成しています。 しかしながら、今後日本の人口が減る中で、新たな観光客の誘客は難しいと考え、リピーターによる観光客の増を図るべきとの考えから、浅草の役者「伊東 元春」の常設公演から、当代一の大衆演劇役者「松井 誠」の監修による常設公演と、平成18年度から常設公演を一新しました。 「松井 誠」の弟子達による「下町歌舞伎組」と銘打ち、年間5組から6組の「松井誠」の弟子達による劇団の公演を行い、年に1回の入館を年に5回の入館といったリピーターの確保に努め、多くの観光客を誘客し、観光産業の発展に努めています。 康楽館歌舞伎大芝居 「康楽館」は日本最後の木造芝居小屋として、高い評価を得ています。 明治43年のこけら落としには、大阪歌舞伎の尾上 松鶴一座が幕を開けるなど、本格的な歌舞伎小屋として建築されました。 こういった文化遺産を活用し、東北での本格的な日本の文化芸能を発信する拠点として、当代随一の歌舞伎役者による「康楽館歌舞伎大芝居」を開催しています。 「康楽館歌舞伎大芝居」の実施にあたっては、歌舞伎の拠点である松竹(株)に働きかけ、著名な歌舞伎役者が観客の手が届く空間で、本格的な歌舞伎を目の当たりにすることができる本物志向を実現しました。 「市川 團十郎」、「松本 幸四郎」、「板東 三津五郎」、「中村 吉右衛門」など、数多くの当代随一の歌舞伎役者による歌舞伎公演を実現するとともに、町内外の人々に本格的な日本の伝統文化を提供してきました。 こういった取り組みが評価され、「中村 勘三郎」の襲名披露には初回公園の芝居小屋として歌舞伎が行われ、「松本 幸四郎」の勧進帳は900回目という節目の記念公演を実現しました。 |